ブックタイトル公益財団法人 日本高等教育評価機構 10周年誌

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概要

公益財団法人 日本高等教育評価機構 10周年誌

008公益財団法人 日本高等教育評価機構顧問・前副理事長髙倉 翔証評価制度は、平成16(2004)年度から始まって、今年で10年目を迎えています。この評価には、7 年以内ごとの機関別と5 年以内ごとの専門分野別の二つありますが、日本高等教育評価機構(以下「評価機構」という。)は、平成16(2004)年度にまず財団として設立され、平成17(2005)年度から主に機関別の評価を中心に行ってきました。私は、「評価機構」の設立母体である日本私立大学協会の大学評価問題検討委員会の委員長として法人設立に関わり、設立後は、副理事長として運営に携わってきました。また、平成3(1991)年以降の自己点検・評価から認証評価の導入まで深く関わってきた者として、まず『これまで』を振り返ってみたいと思います。 平成3(1991)年の大学設置基準の大綱化に伴い自己点検・評価が努力義務化された直後に、私は、筑波大学から派遣され、アメリカの大学や評価機関を調査しました。マサチューセッツのハーバード大学やMIT、ナッシュビルにある南のハーバードと呼ばれるバンダービルト大学などの9 大学を訪問調査しました。ワシントンD.C.では、複数あるアクレディテーション機関を取りまとめる包括的団体であり、現在のCHEA(Council for HigherEducation Accreditation)の前身であるCOPA(Council on PostsecondaryAccreditation)を訪問しました。その玄関には「自発的なアクレディテーションによる教育の質保証」(Quality Assurancei n E ducat ion t h rough Volu nt a r yAccreditation)というプレートが掲げられていたことが強く印象に残っています。 その翌年、私は、アメリカのオハイオ州立大学の上席客員教授(DVP)として大学院で教鞭をとっていました。ちょうどその時期に、大学は専門分野別アクレディテーションを受け、私も実際に自己点検・評価の作業等に従事しました。この評価を受けた後に「アクレディテーション台風」というタイトルで論説を書いたぐらい衝撃的で、実地調査終了後は、まさに台風一過のようでした。また、NCATE(National Council for Accreditation ofTeachers Education)という教員養成の専門分野別アクレディテーション団体の評価員の一員としてもサイト・ビジットに参加しました。このように、「評価を受ける立場」と「評価をする立場」の両方を幸いにもアメリカで経験することができました。成14(2002)年に中央教育審議会が「大学の質の保証に係る新たなシステムの構築について(答申)」を出しました。私は、この時の審議会委員として、更に、大学分科会の将来構想部会の副部会長として、実質的な責任者として答申の取りまとめに大きく関わりました。答申後は、審議が不十分で急ぎすぎていたのではないか、実施することが目的であって、質の改善は重要視していないのではないか、などの批判がありました。また、認証評価の定義があいまいで、「評価」するのか「認証」するのか、などの質問も多くありました。 認証評価が始まった当時は、「やっと間に合った認証評価」「大丈夫か700」などと言われていました。既に評価を実施していた欧米諸国などの先進国にやっと追いついたということと、同時に700 校ある日本の大学を本当に評価できるのかという懸念でした。認平認証評価 ―『これまで』と『これから』―