ブックタイトル公益財団法人 日本高等教育評価機構 10周年誌

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概要

公益財団法人 日本高等教育評価機構 10周年誌

第1 章発刊に寄せて009証評価のもととなる自己点検・評価は、古くは臨時教育審議会当時から議論されておりましたが、実際には平成3(1991)年の大学設置基準の大綱化の時に設置基準で自己点検・評価が努力義務化され、平成11(1999)年には実施義務化されました。ところが、当時は通称「電話帳」と呼ばれた分厚く、読むことも困難な報告書が多く作られていました。その後、平成14(2002)年に答申が出され、設置基準(省令)から学校教育法(法律)に格上げされた形で自己点検・評価が義務付けられるとともに認証評価が導入されました。 小泉内閣の時に規制緩和が打ち出され、内閣府の総合規制改革会議(当時)などでいろいろと議論されてきましたが、事前規制である設置基準を緩和し、その代わりに事後規制方式で大学は認証評価を受けることが義務付けられました。 このように、認証評価は、「評価の時代」とか「質の時代」とか言われていたなかで、法令に基づいた形でスタートしました。まさに、日本型の認証評価は公的に「作られた制度」です。アメリカもアクレディテーション団体を政府が認可しているので同じように見えますが、アメリカ型はまず大学が集まって自発的に質保証を行い、それを後から連邦教育省が認めるようになった、いわば「産まれた制度」であり、日本とは本質的に違います。 アメリカの評価では「ピア・レビュー」が重要だと言われています。「お互いに評価し合う」ということが重要だということです。評価文化を定着させるということは、「評価される」という考えを「お互いに評価し合う」という方向にいかに移行させるかということです。価機構の立ち上げにあたっては、様々な議論を経て現在に至っています。当初は名称を「日本私立大学評価機構」と決めておりましたが、私立大学に評価対象を限定しない方向で、名称も変更してほしいという文部科学省からの要請もあり、最終的に現在の「日本高等教育評価機構」になりました。英語名のJIHEE(Japan Institution for HigherEducation Evaluation)を決めるときも、“Evaluation” と“Accreditation” のどちらに重点を置くのかを議論しました。 やっと走りはじめた認証評価ですが、今後は初期の問題点を見直し、充実させていく作業の段階に入ります。『これから』は「内部質保証」という方向で、大学の自主的・自律的な評価による質保証が求められ、その意味では「自己点検・評価の実質化」が重要となります。自己点検・評価を基本として、認証評価ではその結果を検証しアドバイスすることによって大学の目標達成をサポートすることが求められています。は、教育行財政学を専門としておりますが、原点は、学生の頃(昭和20 年代)に読んだ一冊の本に書かれていた“School administration does not existfor itself; it is only a means, not an end”(教育行政はそれ自体のために存在するものではない。それは手段であって目的ではない。)にあります。これと同様に、「内部質保証」に至るまでの道筋として“NINSHO HYOKA is only a means, notan end”(認証評価はあくまでも手段であって目的ではない)と確信しております。 前述の日本型「作られた制度」とアメリカ型「産まれた制度」は、その後の発展のプロセスの中で相互に接近するようになってきておりますが、それをできるかぎり早く近づける努力をし、認証評価が大学の「質保証」に資する意義あるものに発展するよう願っております。(この論稿は、髙倉顧問・前副理事長の談話をもとに事務局の伊藤敏弘・井原裕子が整理したものです)認評私参考文献①髙倉 翔 「第二期の認証評価-自己点検・評価の実質化を-」I D E  現代の高等教育No . 5 6 8  平成2 3( 2 0 1 1 )年2 - 3 月号② 髙倉 翔 「大学評価-昨日・今日・明日-」筑波大学教育学系論集 第3 6 巻 平成2 4( 2 0 1 2 )年3 月