ブックタイトル公益財団法人 日本高等教育評価機構 10周年誌

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概要

公益財団法人 日本高等教育評価機構 10周年誌

025評価の対象項目案(参考例)①目的・理念・建学の精神(特に教育の理念・目的・目標、自校の個性、 特色)②組織・制度(学部、学科、大学院、短大その他の付属学校等の教育組織)③教育課程・教育方法(目標・内容・学習量・教育評価・学位等)④学生(入学・学生サービス・学生の要望の受け入れ体制・卒業・進 路指導等)⑤教員(教育・研究・サービス)⑥管理経営関係(法人・設置者・管理者・職員、人事関係)⑦財務(経理の公開、収入・支出のバランス、経営に要する財源確保等)⑧教育・学習環境(施設設備・情報サービス・IT・情報公開等)⑨学校の誠実性および信用大学評価研究プロジェクトチーム研究代表者・喜多村和之2002 年 9月27 日(日本私立大学協会理事会へ報告)2002 年10 月25 日(日本私立大学協会総会へ報告、一部字句修正)凡例①本素案は、2000 年7月に、日本私立大学協会より受けた「私学の特 性に配慮した評価システムのあり方」についての研究調査委託に対 して、私学高等教育研究所・大学評価研究プロジェクトチームがそ の基本的考え方の骨子(要旨素案)を報告するものである。したがっ て本案は今後同協会によって審議されるたたき台となるもので、同 協会によって承認されたものではない。またここで触れられていな い諸側面や部分の詳細は、別途検討される。②本素案ではまず高等教育機関の組織全体を対象とする「機関評価」  のみを扱っており、「専門分野別評価」については、別途に検討され る必要がある。また「機関評価」と「専門分野別評価」との関係や 連携についても、別途検討される必要がある。③本素案骨子のもととなる本文は、別途に発表する予定である。④本素案の骨子および本文は、今後、ひろく意見を伺って、改訂され るべき試案である。業は完結する。8 新設の第三者評価機関の性格の骨子 以上に述べてきた理由から、各大学の自己研究・診断の結果にもとづいて、その成果や達成度を客観的に評価する第三者機関として、新たな組織を設立する必要がある。設立の是非、内容、方法等については、これを設置しようとする設立母体によって審議・決定されることになるが、現時点での新組織の基本的性格としては以下のような点を提示できる。 ①新しい第三者機関は、高等教育の質の向上をはかるための、  任意の、自律的で、独立した、非営利の、法人格をもつ組  織であることがのぞましい。仮にこれを「高等教育水準向  上協会」(向上協)と呼ぶ。第三者機関の自律性と独立性  を維持するためには、社会に信頼されるような情報公開と  説明責任の履行が不可欠の要件である。 ②第三者機関としての公正性・実質性を担保するため、この  新機関は設立母体とは別個の組織とする。また評価事業の  方針や判定にあたる委員会等の構成者には、当該大学の関  係者は含まれないことは当然であるが、他大学の関係者に  加えて、高等教育界以外からの第三者として、有識者や団  体からの参加・協力を得るものとする。 ③この新設される第三者機関が、国の認証を得る「認証評価  機関」として申請するか否かは、その基本的性格を決める  重要な点であるので、設立母体の慎重な審議を通じて決定  されるものとする。 ④第三者機関は高等教育の質の向上をはかるために、評価事  業を通じて各学校の向上改善の努力を奨励し支援するとと  もに、社会に申請を受けた学校がその基準に適合している  ことを保証する責任をもつ。ただしその評価の判定は申請  校の質の段階的評定をおこなうのか、基準を満たしている  か否かの適否の認定とするのか、あるいは両者を組み合わ  せた評価にするのか、第三者機関の基本的性格にかかわる  重要な問題であり、今後慎重な審議によって決定される必  要がある。 ⑤第三者機関は、その評価の項目、基準、手続き等を決定し、  これにしたがって評価を実施する。 ⑥第三者評価事業は、内外の経験や研究の見地から最短5年、  最長10 年の間の時期ごとに実施されることが適当と考えら  れる。 ⑦第三者評価を受けるための申請は、各学校の自発意志によ  る。原則として設置認可を受け、完成年度を経た高等教育  機関とするが、学校法人やその他の機関の申請を受けるこ  とも可能とすることが望ましい。 ⑧第三者機関の評価結果は公表するものとするが、どのよう  な形でどこまで発表されるべきかは、今後審議・検討され  る必要がある。 ⑨第三者機関の評価結果に対する異議申し立ての機会を設定  し、その手続きや扱いについて定めておく必要がある。 ⑩第三者機関は定期的にその評価システム自体の自己研究・  診断をおこなうとともに、適切な他者評価を受け、評価事  業およびシステムの改善・改革をおこなうものとする。 ⑪第三者機関は、第三者評価の実施にともなう諸事業をおこ  なうとともに、評価の調査研究、評価専門職の育成、評価  者の研修などを実施する。 ⑫信頼性の高い評価を実現することはきわめて困難な事業で  あり、完璧な評価システムは存在しない。しかしよりよい  評価を求めて、不断の研究調査と実験による試行錯誤や改  善を通じて、拙速を避け、慎重かつ漸進的なシステムの形  成に努めることが必要である。国内外の評価の経験や知識  は、評価システムの形成には慎重な制度設計と試行錯誤に  よる実験と長期の努力が不可欠であることを教えている。