ブックタイトル公益財団法人 日本高等教育評価機構 10周年誌

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公益財団法人 日本高等教育評価機構 10周年誌

076座談会「認証評価とJIHEEの10年後のために」内田 判定委員会に佐藤委員長のもと委員として参加していますが、大学をサポートするという姿勢がとても感じられます。 小中学校では学びの履歴、ポートフォリオをきちんと作って、教員も自分がどういう教育をしてどんな成果を出せたかを見るとともに、子ども自身もそれを振返り、自分の学びの足りなかったところに気づいて、さらに努力をして向上していくような仕組みができていますが、大学にはそれがなかったわけですよね。それで、7年以内に1度にしろ受けなければいけないということで評価が始まった。第2 サイクルを迎えて私立大学の評価も国立大学法人の評価もブラッシュアップされてきています。そこで受けねばならぬではなくて、受けることをきっかけにして次なる飛躍につなげるというプラスの機会に捉えて、自分の大学を良くするために評価を活用するということが広がっていけば、日本の評価文化が成熟するのではないかなと思いました。■評価機関の連携と分野別評価相良 私は評価員として大学基準協会と当機構の双方で経験がありますが、制度設計としては当機構もよくできていると感じています。 大学評価ではもう一つ大学評価・学位授与機構もありますが、この3機関のあるべき関係、役割分担はどうしていくべきでしょうか。同じ認証評価を行う機関としての共通部分と、個性を示していく部分があると思います。三つの機関の今後について、佐藤先生どうお考えでしょうか。佐藤 大学基準協会とここの関係については、お互いに情報交換することが重要です。アメリカではニューイングランドから西海岸まで、それぞれの地域に認証評価団体があります。日本でも地域ブロックごとに見ていくのが一番望ましいと、実は個人的には思っていたんですね。そんな簡単なことではないと分かっておりますが、お互いに何をしているかというコミュニケーションが必要だということです。 その中で、今までは認証評価を受ける側が7 年のうちこの年に受けたいというのを選べるので、評価の件数の時期的な平準化ができない。ある程度この時期に受けませんかということを評価団体側が言えるようにしないと、ある年はものすごく増えて、ある年はものすごく減るという状況がいつまでたっても解決しないと思います。三つの機関がお互いに連絡するという機能もあるようですから、その中でこういうことも議論をするのがいいのではないでしょうか。 あともう一つ言えば、専門職大学院の評価ですよね。うちはファッション・ビジネス系専門職大学院の評価をしていますが、1大学でも新しい分野ができたら評価機関を作らなければいけない。教育の内容は多様化していますから、それにどう対応していくのかは共通の課題だと思いますね。瀧澤 分野別の評価は、そのための新しい評価機関を作るという対応だけではとても大変なことで、その分野の専門家集団がある程度責任を持つという形でないといけないと思うんですね。専門家集団がその評価について関心を持ってどのような評価が必要かというのを全然検討していないというのは問題なんです。 ファッション系でも我々が期待できるような専門家集団を持つのは極めて難しいですよね。分野別の評価をするのかしないのかはその辺りの体制ができるかどうか、もうちょっと分野別の専門家集団が、その分野の教育の質の維持・向上に責任を持っていただくということが進まないと、ちゃんとしたことはできないと思いますね。福井 分野といっても、その大学の建学の精神なり教育の方針と分野を重ねるということは、もっと難しくなるのではないかと思います。また全ての分野別で作れるわけではない。ですから、評価機関がないときはどこかでこういう組織を作って判断するのだというような、そのシステムを作る方が具体性があるんじゃないですかね。瀧澤 日本学術会議でやろうとしていることを見ても、全分野に網を張れるかというとちょっと考えられないですね。分野別にどういう教育をやるのか、学修成果を誰がどう定めるのかというのは、日本では各大学が勝手に決める。自分の大学のことだからということにしかなっていない。学修成果というのは教育の目標になるわけですから基準みたいなものですよね。 ヨーロッパの各国で進んでいるのは、各大学が自分の大学のことだけ考えて適当に作るのではなくて、社会とのつながりの中で学修成果を決めるということで、「チューニング」という言葉で表しているように、「全ての分野で評価機関を作るより、評価機関がない場合に判断できるシステムを作る方が具体性がある」(福井)瀧澤博三氏