ブックタイトル公益財団法人 日本高等教育評価機構 10周年誌

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公益財団法人 日本高等教育評価機構 10周年誌

078座談会「認証評価とJIHEEの10年後のために」いうところをきちんと受止められる評価をできればいいなと思っています。 評価が基本的に何のためにあるのかといったら、大学が教育機関としていい仕事をしているかを問うわけですよね。その上で考えれば、今年来年、出生の数は100万人を切るだろうと言われています。ついこの間ですよ、205万人と言われたのは。半分以下でしょ。これからまだまだ下がっていって85 万人くらいまで下がる中で、従来と同じ物差しだけでは評価できなくなると思うんですよね。評価の物差しを多様にしていかないと評価しきれなくなるかなと。先ほどからの分野別評価とか、いろいろなことに繋がってくるのではないかと思います。瀧澤 抽象的な言い方になりますが申上げます。まず、大学は自主性が大事だと言われますが、大事なのは大学団体として大学の集団としての自主性というのをどう維持し発揮していくかということ。この訓練が足りないんですよね。それが大学の世界で欠けていたもので、非常に抽象的ですが大事なところだと思います。 認証評価は発足以来、非常に多くの経験を積んだというわけではないです。最初に基本的な議論が行われていないので、変な要素が入っているんですね。そんな状態で、発足してから逐次問題点を検討して手直しするというプロセスをたどっているんですが、この方法では段々と細かくなっていくんですよね。今大事なのは、細かくすることではなくて、少し大ざっぱにすることではないかと。評価の体制には限界があり、なんでもできるわけではない。評価を効率化することがかなり重視されてきていると思いますが、効率化というのは細かくきちょうめんにするのではなくて、大ざっぱにするほうがうまくいくのではないか、肝心なところが捉えられるのではないかと。そういう方向で認証評価を考えていかなければいけない。 それから、評価機構の大きな仕事は評価することと、評価基準を作ることです。それなりの組織じゃないとできない。規制改革の理屈では株式会社にも評価をやらせろといいますが、株式会社が大学の基準を作るという正当性はないと思うんですね。だからつまらない議論が起こり得るので、大学の評価基準を作るというのは誰にでもできる仕事ではないということを世間にもよく認識してもらわないといけないと思います。福井 規模の大きな大学と小さな大学を比較してみると、同じ基準が必要なんだろうかと思うことがあります。また負担の点もあります。負担は大きな大学と小さな大学では全然違いますから。それが一つですね。 それと評価ではどうしてもガバナンスや説明責任などが話題になりますが、学生がどう生活をしているのかという評価があまりない。大学時代は勉強する子は勉強する、あるいは鍛えていればいいんだと言われればそれまでかもしれませんが。成長していく段階で学生生活はどうあるべきか、人間形成はどうあるべきかは、あまり言われないんですね。ですから、将来の成長なり、社会の要求に対して応えられるかどうかわかりませんが、それはそれで致し方ないののかということが一つあります。 もう一つは、とにかく今の世の中の動きがあまりにも早いから、2 年経つと全く違うことが起こってくるんですね。ですから、7年以内に1 度と言いながら、もう少し細かく4、5年くらいにしたほうがいいのか、また、重点的に必要な部分の評価をするのか、そういうことも将来的には考えられると思います。1回1回の負担が軽くなる場合もあるだろうし、特定の年だけ評価校数が多くなることも減るかもしれません。■10年後の日本高等教育評価機構  相良 福井先生が冒頭で中教審の平成17 年の将来像答申に触れられましたが、ちょうどその頃私は京都のミッション系の女子大学の責任者をしていました。うちの大学はどれに該当するかなと考えたところ、総合的教養教育というカテゴリーがありました。幸いにも私がいるうちは財政的にも苦労しなかったんですが、いまは段々難しくなっている。大学の評価を考えるときに、私立大学というのは、先生方がおっしゃった建学の精神、赤字になろうが学生が来なかろうが独自の大学の精神を守らないわけにはいかない、そういう気持ちで運営している大学が随分たくさんあると思うし、これからどんどん増えていくのではないかと思います。 10 年後、すなわち当機構の設立20 周年にあたる平成36(2024)年は、認証評価制度第3 期の最終年です。最後に視点を変えて質問をさせていただきますが、10 年後の当機構は、どんなふうに存在することを予想されているか、期待されているか、をお聞かせください。内田 基本を大事にしながら対話型の評価に、そして評価基準を多様化し、それぞれの大学の自律性、自主性を尊重する形でブラッシュアップしていければ、第3サイクルまで存続するだろうと思います。それはこの評価を受けること自体がそれ「国際化が進む中で、きちんと評価できる評価者の育成は評価機構にとっての課題です」(佐藤)