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日本高等教育評価機構だより

平成28(2016)年5月25日分掲載

平成16年度に導入された大学等の機関別認証評価は、最初の7年目にあたる平成22年度に第1サイクルを終え、現在、第2サイクルの終盤を迎えている。今年の3月末には、学校教育法第110条第2項に規定する基準を適用するに際して必要な細目を定める省令が改正され、平成30年度からいよいよ第3サイクルが始まろうとしている。本欄では、日本高等教育評価機構(以下、評価機構)から、活動状況や高等教育政策への対応等を中心に毎月1度、情報発信してもらい、評価の透明性を高め、評価文化を更に醸成していく。

平成27年度認証評価を振り返って
アンケート調査から

第1回は、評価での指摘内容や大学と評価員へのアンケート調査から平成27年度の認証評価を振り返ってみたい。

平成27年度の認証評価結果

平成27年度の認証評価は、68大学・2短期大学・1ファッション・ビジネス系専門職大学院を実施した。結果は、63大学、2短期大学、1ファッション・ビジネス系専門職大学院が「適合」、5大学が「保留」となった。また、平成25年度の評価で保留となっていた1大学に対する再評価結果は「適合」となった。32大学・1短期大学・1研究科には「改善を要する点」の指摘が全くなかった。「適合」の大学のうち「改善を要する点」があった31大学・1短期大学には認証評価のフォローアップとして、今後3年以内に改善報告書を大学等のホームページに公表するとともに、評価機構への提出を求めた。「保留」とは、評価機構の評価基準を満たしていないが、1年以内に満たすことが可能であると判定委員会が判断した場合で、再評価の結果が出るまでの間、判定を保留するものである。今年度「保留」となった5大学には、平成29年度に再評価を受けることを求めた。

教学面で多くの「優れた点」を指摘

大学の評価結果の内容を基準ごとに見てみると、「優れた点」の指摘が最も多かったのは「基準2 学修と教授」であった。(表1)

「優れた点」は、他校の模範となるような先進的な取組みで、かつ十分な成果を挙げている取組みとして評価している。教育面では、特に、「学生サービス」「教育課程」「教育環境の整備」の面で多くの「優れた点」が挙げられた。

また、内部質保証を求めている「基準4 自己点検・評価」では、「目標管理による成果主義の導入」(東北芸術工科大学)、「外部評価機関の設置」(星城大学、宝塚大学)、「毎年度始めの明確な年次目標の発表」(吉備国際大学)など自己点検・評価のPDCAサイクルを円滑にするための工夫が見られた。

一方、「改善を要する点」については、基準2、3ともほぼ同数で、基準2の「学生の受入れ」における定員未充足に対する指摘が最も多く、評価を受けた大学の約3割にあたる20校に対して付された。「基準3 経営・管理と財務」では、「理事会の機能」「コミュニケーションとガバナンス」における寄附行為違反や、「財務」における中長期計画の策定に関する指摘が多かった。

昨年度の評価を総括すると、学生確保及び安定した財政基盤の確立が求められるなかで、教育課程や教授法における工夫や学生のためのサービスなど、教育面での積極的な取り組みが目立った結果となった。

(表1)

基準1 基準2 基準3 基準4
使命・
目的等
学修と
教授
経営・
管理と財務
自己点検・
評価
優れた点 9 61 16 4
改善を要する点 6 38 40 4

認証評価に関するアンケート結果(大学・評価員)

評価機構では、認証評価に関するアンケート調査を、当該年度に受けた大学及び評価員に対して毎年度行い、認証評価の改善・改革に努めている。平成27年度は、評価を受けた68大学のうち59大学からの回答(回答率86.8%)及びその評価にあたった316人のうち、292人のからの回答(回答率92.4%)を得た。

大学、評価員ともに認証評価制度に対して肯定的

大学に対して、「自己判定により、大学が抱える問題点が明確になったか」の質問をしたところ、「そう思う」という回答が83.8%と多くを占める結果となった。また、「認証評価は、大学の改革・改善を支援・促進する契機になるか」という問いには、82.4%が「そう思う」と回答し、「そう思わない」という回答はなかった。認証評価が大学改善のための一定の成果を上げつつあると言えよう。

一方、評価員への「大学の掲げる使命・目的を踏まえ、個性・特色に配慮した評価ができたか」という質問に対しては、78.5%が「そう思う」と回答するなど、多くの評価員が評価活動を肯定的に振返っている。しかし、「大学の改革・改善を促す評価ができたか」を「そう思う」と回答した評価員は65.8%と低い値となり、「わからない」という回答が約2割を占めた。

自己点検評価書の質的低下に懸念

今年度のアンケート結果で、特に目立ったのが、「大学から提出された自己点検評価書がエビデンスを用い客観的に記述されていたか」、という評価員への設問で、「そう思う」が63.6%と、昨年度の79.8%を大幅に下回った。理由としては「記述の誤りが多い」「エビデンス不足」「データとの不整合」など、例年と同様の意見のほか、「明らかに記述が不足」「評価の視点の理解が必ずしも十分でない」など厳しい意見が目立った。「エビデンス集が適切だったか」の設問でも、「適切」が昨年度の74.0%から60.4%に低下しており、大学の自己点検・評価の質の低下が懸念される結果となった。

評価基準への大学と評価員からの評価は概ね良好

評価機構の大学評価基準の内容についてわかりにくかったことを大学と評価員の両方に聞いた。大学、評価員ともに、「基準2 学修と教授」に対する意見が比較的多かった。大学からは、「記載内容が多い」、「他の基準の記述が希薄になりがち」、といった意見。一方、評価員からは、充足率が低い場合の判断の難しさなどの意見があった。

また、評価基準の構成(4基準+独自基準)の適切性について、大学と評価員に聞いたところ、大学、評価員ともに、適切という意見が多く、概ね受け入れられていることがわかった。適切だと思わない理由としては、基準ごとのボリュームの差や、独自基準の意義などについての疑問などがあった。さらに、評価員に対しては、独自基準の判定を行わないことについて、適切かどうか聞いたところ、適切とする意見が78.5%となった。

旧評価基準と比して現評価基準は一定の評価が

68大学のうち、旧評価基準で受けたことがある57大学に対し、旧評価基準と比べて「評価の効率性が高められ、大学の個性・特色をより重視した評価になっていたか」を聞いた。66.7%が「そう思う」と回答した。同様の質問に対する旧基準を経験した110人の評価員からの回答は「そう思う」が58.2%であり、評価員より高い結果となった。

第3サイクルへ向けて

評価機構では、平成30年度から始まる第3サイクルに向けて、認証評価のあり方の検討に着手した。今後の認証評価は、設置基準等が守られているかの検証は当然のことであるが、グローバル化や地域活性化の主役たる大学の果たす役割が多様化、重層化が進んでいる状況を踏まえて、各大学が目指す大学教育の質的保証や個性化・特色を支援するものでなくてはならない。そのためには、評価機構としても評価の在り方の研究に力を注ぎ、大学の教育活動がますますの活性化するための一助となる評価システムの開発を進めたい。
(評価事業部長・評価研究部長 伊藤敏弘)

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