日本高等教育評価機構だより

平成30(2018)年3月28日分掲載

日本高等教育評価機構の自己点検・評価及び外部評価の実施‐下‐

はじめに

平成30年2月28日付け本紙の「日本高等教育評価機構だより」の自己点検・評価に関する記事に引き続き、日本高等教育評価機構(以下『機構』と略す。)が受審した外部評価の結果について報告する。

(2)外部評価

機構の使命はいうまでもなく、大学や短期大学の教育、管理運営、財務等に関して、定められた基準に基づいて評価を行うことにある。機構は平成17年度の評価開始以来今年3月現在までに、延べ618大学及び16短期大学の機関別認証評価を、また、ファッション・ビジネス系専門職大学院の評価を二度実施してきたが、これだけの数の大学・短期大学等の評価を厳正かつ客観的に行うには、評価基準や評価項目の管理・見直しを不断に、かつ徹底的に行わなければならなかった。その集大成が、前号で述べた機構が初めて実施した自己点検・評価の試みである。

それだけにとどまらない。機構の認証評価が客観性と厳正さを持ち続けるためには、機構の活動が外部からどのように評価されているかを知る必要があった。まさに、「評価する者は評価されなければならない」との認識である。

外部評価委員会の設置

平成29年3月7日、機構は「本機構が行う自己点検・評価を検証し、客観性及び妥当性を高めるとともに、本機構の組織及び諸活動の改善・向上に資する」ために、公益財団法人日本高等教評価機構外部評価委員会規程を定め、委員として岡本和夫(大学改革支援・学位授与機構理事)、工藤潤(大学基準協会事務局長兼大学評価・研究部長)、佐藤郡衛(目白大学学長)、瀬戸熊修(千葉工業大学理事長)、高橋宏(東京国際大学学長)、両角亜希子(東京大学大学院教育研究科准教授)の6氏に、任期約2年をもって委員の委嘱を行うこととした(委員長には佐藤委員)。外部評価委員会の活動を開始するにあたって、機構の目的の適合性、公益財団法人としての適切性、更に認証評価機関としての適切性に特に留意することとした。

外部評価のスケジュールと実施方法

外部評価委員の全員が多忙を極めておられたため、会合は極力少ない回数で、1回当たりの時間も短くするよう努めた。実質的な会合の回数は、3回にとどまった。

外部評価委員会が委員全員で合意した評価の主な方法は、以下のとおりである。

① 機構が実施した自己点検・評価の報告書及び関連資料等の確認と検証、

② 機構の役職員との面談、

③ 外部委員の間での協議と意見交換、

④ 外部評価結果報告書の作成、

なお外部委員会のメンバーが議論に集中できるよう、委員会会合においては機構の役職員は出席せず、事務連絡や資料等の提供のために職員2名のみが陪席することとした。

基準ごとの評価

外部評価に当たって、機構が平成27年から28年にかけて行った自己点検・評価において策定した13の基準に基づき、6人の委員それぞれに担当基準を振り分けて評価が行われた。

外部評価の総評

平成29年12月に外部評価委員会から機構の黒田理事長に提出された「平成29年度 外部評価報告書」の総評は「基準1から13のすべてにわたり、適切に事業を遂行している」というものであった。「非常に優れている」という評価をいただいた基準もあったが、同時に「課題である」と指摘された基準もあった。外部評価結果の総評は、表のとおりである。

私どもの機構は、立て続けに実施した自己点検・評価及び外部評価の結果を、広く社会に公表するとともに、点検・評価の精度を向上させ、文部科学省が今後実施することを検討しているヒアリングにも積極的に対応すべく準備を行う予定である。(副理事長(自己点検・評価実施委員会委員長)・相良憲昭)

表 外部評価結果の総評

基準 基準名 総評
1 目的 機構の目的は明確に定められており、適切で公益性を有している。
2 機関別認証評価 認証評価の目的は明確であり、評価基準も適切で、広く内外に周知されている。評価の実施体制・プロセス等、また評価結果の公表と情報管理については適切になされている。
3 分野別認証評価 ファッション・ビジネス系専門職大学院の評価の目的、評価基準、評価の実施体制、評価のプロセス、評価結果の公表と情報管理は、いずれも適切である。
4 調査研究 機構の調査研究の目的は明示され、自己評価も適切に行われている。調査研究の成果を認証評価機関相互にも生かしていく体制を強化することが、今後の課題である。
5 国際性 機構の国際性を高めるための取り組み体制、活動内容、活動成果の公表は、適切になされている。今後、実際の認証評価が国際通用性に照らして妥当であるかどうかについて、不断の検証を進めていくことが必要であり、また、海外の質保証に関する機関との連携と同時に、国際性の観点から、国内の認証評価機関との連携を図っていくことが課題である。
6 広報 事業の一環として組織的に広報に取り組んでおり、多様な媒体を通じて定期的に情報を発信している。
7 会員 「会員制度」は、規則等に則り適切に運用されている。会員校を対象とした研修会等には、会員校を中心にして多数の参加者を得ている点、研修員や評価員を募集し、機構において評価業務を経験することが会員校の人材養成の場として機能している点は、非常に優れている。
8 関係機関等 日本私立大学協会との連携・協力、認証評価機関との連携、さらに文部科学省等とも適切に連携がなされている。
9 管理運営 機構の管理運営は、関連法令等を遵守している。評価結果を大学ごとに効果的に紹介するなど、大学の質の向上に配慮している点は非常に優れている。
10 財務 機構における予算、執行、決算とも、諸規定等に則り適切に行われており、中・長期財務計画も立てられている。ただ、財務三基準を満たすためのチェック体制の整備、特定資産積み立て計画及び中・長期財務計画の作成・見直し等については、更なる改善が必要である。
11 施設・設備 施設については、耐用年数が迫っており、今後の事業の拡大を視野に入れつつ、移転先を検討する必要がある。設備については、事業を遂行する上で必要な備品は整備され、適切に管理されている。施設・設備の安全性については、法令を遵守している。
12 事務局 事務局体制は、機構の目的を達成する上で適切に整備されている。特に、限られた職員の中で、総務部の一部の職員を評価業務に関与させていることから、職員の総務部から評価事業部への円滑な異動を可能にしている点は、非常に優れている。
13 自己点検・評価 自己点検・評価を実施する体制は整備されている。自己点検・評価を行う中で、改善すべき課題や強みを抽出し、早急に検討すべき課題への対応策の検討・提案などを行っている。

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