令和8(2026)年4月22日分掲載
認証評価制度第4期
初年度の評価結果等について
(公財)日本高等教育評価機構(以下「評価機構」という。)は、第4期の初年度に当たる令和7年度に実施した19大学と2短期大学のほか、1ファッション・ビジネス系専門職大学院の認証評価と過年度に不適合の2大学の追評価の結果をこの3月に評価機構ホームページ等を通じて公表した。
本稿では、受審校の優れた取組み、改善を要する点等の指摘の概要を中心に、昨年度の認証評価を振返ってみたい。また、第4期の重点評価項目である内部質保証の実質化について、各受審校の取組みや問題点などを共有することで次年度以降の受審校が自己点検・評価を実施する際の参考となることを期待する。
評価結果の概要
令和7年度の認証評価の結果では、19大学中18大学が「適合」、1大学が「不適合」となり、2短期大学、ファッション・ビジネス系専門職大学院の1研究科は「適合」となった。また、過年度の「不適合」の2大学に対し、認証評価時に指摘した改善事項の内容を中心に追評価を行った結果、それぞれ指摘した内容を真摯に受止め、指摘事項については改善されたことが確認できたため「適合」となった。
「適合」校のうち、12大学と1短期大学には「改善を要する点」の指摘があったため、3年後に改善報告書を当該校のホームページに公表し、エビデンスとともに評価機構への提出を求めた。「改善を要する点」の指摘が多かったのは「基準2.内部質保証」であった。
主な内容として、内部質保証の組織や責任体制を確立するための全学的な方針として各種規則で運用しているが、規則間の関連性や責任体制に関する方針が必ずしも示されているとは言えない、という指摘が複数あった。また、内部質保証以外の基準において、設置基準をはじめ、各種法令の遵守などに関する「改善を要する点」の指摘があり、内部質保証への取組みに起因する問題であったため、「基準2.内部質保証」においても「改善を要する点」として指摘された受審校が多くあった。一部の受審校では内部質保証の基本となる方針の必要性や法令への対応になお課題があると感じた。
今回1大学が「不適合」となったが、その要因として大学全体の収容定員充足率が低く、大学設置基準で求められている教員数及び教授数の不足、理事会と評議員会が私立学校法や寄附行為どおりに運営されていないなどが挙げられた。
評価機構では、評価後のフォローアップとして、今までの「事後相談」に加えて、改善報告書等の提出又は追評価が求められた受審校からの要請を受け、「改善を要する点」の要因の説明をはじめ、改善の計画や施策の確認を行うなど、改善に向けた取組みの支援制度を令和8年度に整備し、所定の費用を申受け実施する予定である。
「独自基準」に多くの優れた取組み
優れた取組みの内容を基準ごとで見てみると、「優れた点」の指摘件数が最も多かったのは「独自基準」で12校16件あった。令和7年度では全ての受審校が「独自基準」を設定しており、それら対する優れた取組みが多く挙がった。
評価機構では、第2期から、評価機構が定めた基準以外に、受審校が個性・特色として重視している領域に関しては、「独自基準」の設定を求めている。更に第4期からは「独自基準」に対して特色ある取組みなどを「優れた点」として取上げることとしている。主な内容としては、地域連携や地域貢献が最も多く、「県内外各地域の企業、団体等との連携により、学部・学科の専門性を生かした個性豊かな地域活動を展開し、学生に幅広い見聞と体験を与えているとともに、地域の企業や住民にとっても役立っている点は高く評価できる」、「保育人材の確保と定着に対する地域社会からの強い要請に応えて、地域と連携した教育活動を実践しており、地域に選ばれ、愛され、信頼されることを目指す短期大学としての教育実践活動は高く評価できる」、「大学における地域社会貢献への取組みは、病院と連携しながら地域を支える専門人材の育成に貢献していると同時に、大学の知的資源を地域社会へ還元するという側面からも高く評価できる」などがあった。そのほか、国際交流に関しては、「多くの高等教育機関と留学等に関する協定を締結している点は、学生がそのニーズや経済的状況等に合わせた留学先を選定できるという観点から高く評価できる」、「学生の海外実習地域に海外事務所を設置し、実習先の受入れ体制を整え、学生の実習を細やかにサポートしている点は評価できる」などが取上げられた。
評価機構のホームページでは、受審校の全ての「優れた点」を公表しているので、ぜひ参考にされたい。
内部質保証の実質化への取組み
認証評価の第4期では、文部科学省から令和4年3月に出された「新たな時代を見据えた質保証システムの改善・充実について(審議まとめ)」での提言を踏まえて、大学等の自己点検・評価による改善への取組みなどの内部質保証の実質化、評価機関の評価方法の弾力化や簡素化などが求められている。
評価機構では、特に内部質保証の実質化への対応として、まずは「基準2.内部質保証」の基準項目「2-3.内部質保証の機能性」に「学生の意見・要望の把握・分析、結果の活用」という評価の視点を加えた。これらに関する「優れた点」として、「学長・教職員と学生との意見交換会の定期的な実施及び学生支援センター、学務課において学生の意見・要望を確実にくみ上げ、教育研究の改善につなげていることは評価できる」、「看護学部看護学科における、所属全教員による授業回ごとの学生の意見収集・分析とそれに基づく改善や、教員の人事評価に教育関係の評価を加える取組みは、教育効果を高め、退学率・留年率を低下させる活動として成果を上げており評価できる」などがあった。
また、自己点検評価書において、基準ごとに自己点検・評価や外部評価で発見された課題などを記述するとともに、それらの課題などに対する改善状況と今後の取組み予定の記述を求めた。まず、受審校の自己点検評価書を見てみると、「全ての基準で課題が記述されている」、あるいは「課題が指摘された経緯が記述されている」受審校は約9割、一部の基準では、課題はないとの回答もあった。
一方、課題の有無に全く言及していない受審校も複数あった。
また、それらの課題を確認した評価員に「受審校は適切に自己点検・評価できていたと感じましたか」とアンケートを実施したところ、約5割が「とてもそう思う」または「そう思う」と回答した。その理由をみると、「記載内容が整理され、確認が容易」、「課題解決への姿勢が見えた」、「評価過程で課題を絞り込みやすかった」など、受審校が課題に対する認識や取組みなどの記述がわかりやすかったことが伺えた。
その一方、約4割が「どちらでもない」、1割未満が「そう思わない」ないし「全くそう思わない」との指摘もあった。主な理由として、「主旨は有効だが、記載に偏りや抽象的」、「PDCAの機能確認が困難」、「内部質保証に問題が多く、改善状況や今後の取組みが記載されていない」などがあった。
多くの受審校が自己点検・評価を通じて課題を認識し、積極的に改善・向上を取組んでいる。しかし、取組みが不十分な受審校も少なからずあるため、評価機構としては今後も引続きセミナーや説明会などにおいて自己点検・評価による課題認識の必要性への理解を促すとともに、取組みなどに関する事例紹介を積極的に行っていきたい。
(評価事業部部長兼評価研究部部長 陸 鐘旻)
