令和8(2026)年7月22日分掲載
「改善報告」が支える継続的な質向上
-第3期認証評価の検証調査より-
日本高等教育評価機構(以下「当機構」)では、認証評価後のフォロ-アップの一環として「改善報告」の仕組みを設けている。「適合」の判定を受けた大学及び短期大学(以下「受審校」)に対し、評価報告書で「改善を要する点」とした事項について、認証評価を受審した翌年度から3年以内(第4期の令和7年度からは3年後)に改善報告書などの公表及び提出を求めるもので、改善報告等審査会、評価判定委員会での審議、承認の上、結果を受審校へ通知している。
第3期(平成30~令和6年度)の改善報告は、全ての結果が出そろうのは令和9年度末となるが、実態を把握し、課題を明らかにすることを目的として、令和6年度に検証調査を行ったので、その一部を報告する。
全校が期限内に提出
第3期の評価で「適合」となった330校のうち、改善報告書の提出を求めたのは195校488件だった。このうち、令和6年度までの提出期限の改善報告書は全て提出済みであることから、受審校が改善報告の意味や仕組みを理解し、改善に真摯に取組んでいることがわかった。
「教学マネジメント」「学生受入れ」は指摘多数
第3期の「改善を要する点」は、6つの基準(「基準1.使命・目的」「基準2.学生」「基準3.教育課程」「基準4.教員・職員」「基準5.経営・管理と財務」「基準6.内部質保証」)の評価項目である23の「基準項目」ごとに付した指摘である。改善報告書の提出を求めた488件について、どの基準項目で指摘が多かったかを調査した。結果は、表1のとおりである。なお、基準・基準項目の番号及び名称は第3期システム時のものであり、現行とは異なる。
最も多かったのは、「4-1.教学マネジメントの機能性」で、その多くは学校教育法第93条への対応に関する指摘であった。「2-1.学生の受入れ」では、学科の収容定員未充足に関する指摘、「6-3.内部質保証の機能性」では、他の基準項目における「改善を要する点」を要因とした内部質保証システムの機能性に関する指摘、「5-3.管理運営の円滑化と相互チェック」では、監事の職務や監事監査報告書に対する指摘が目立った。
| 順位 | 基準項目 | 割合(件数) |
|---|---|---|
| 1 | 4-1教学マネジメントの機能性 | 23.8%(116件) |
| 2 | 2-1学生の受入れ | 18.2%(89件) |
| 3 | 6-3内部質保証の機能性 | 14.8%(72件) |
| 4 | 5-3管理運営の円滑化と相互チェック | 13.3%(65件) |
改善内容により提出時期に差
調査時の全提出数は105校264件で、提出までの期間を見ると、受審の翌年度(以下「1年後」)が41校83件、2年後は30校92件、3年後は34校89件であった。
また、提出時期と基準項目との関係を分析したところ、1年後の提出は、「1-1.使命・目的及び教育目的の設定」「4-1.教学マネジメントの機能性」などにおける学内規則の改正等に関わる指摘が多く、2年後の提出は、「5-2.理事会の機能性」「5-3.管理運営の円滑化と相互チェック」における理事会・評議員会の運営や監事の職務に関わる指摘が多かった。3年後の提出数が多かったのは、「2-1.学生の受入れ」「5-4.財務基盤と収支」などで、学生数の確保や財務基盤の安定など、改善には一定の期間を要するという傾向が見られた。
約8割の改善を認める
264件の改善報告に対して、学科別に審議した件もあったため、審議結果は延べ267件あった。「改善が認められた」が211件(79.0%)、「改善傾向にあるが、今後の成果が望まれる」(以下「改善傾向にあり」)が31件(11.6%)、「改善が認められない」が25件(9.4%)であった。
提出時期別の審議結果は、「改善が認められた」が、1年後は81.0%(68件)、2年後は84.8%(78件)、3年後は71.4%(65件)と2年後が最も高かった。一方、「改善が認められない」としたのは、3年後が16.5%(15件)で最も高い割合となっていた。
内部質保証の改善進展
基準項目別の審議結果は表2のとおりである。全て「改善が認められた」としたのは、「1-1.使命・目的及び教育目的の設定」「3-1.単位認定、卒業認定、修了認定」など7基準項目、9割以上は、「4-1.教学マネジメントの機能性」「5-3.管理運営の円滑化と相互チェック」など4基準項目あった。一方、「2-1.学生の受入れ」「3-3.学修成果の点検・評価」「5-4.財務基盤と収支」については5割を下回る程度にとどまっていた。特に、「5-4.財務基盤と収支」は、財政基盤が安定したと判断できない等で「改善が認められない」が過半数を占めた。
第3期より当機構では「基準6内部質保証」を「重点評価項目」として位置づけ、内部質保証を重視した評価を実施している。基準6では、40校46件の改善報告書が提出され、審議結果を通知した。表2のとおり、「6-1.内部質保証の組織体制」及び「6-2.内部質保証のための自己点検・評価」については、提出された7件全てが「改善が認められた」とされた。「6-3.内部質保証の機能性」は、前述のとおり、他の基準項目と関連づけた内部質保証システムの機能性への指摘であり、「改善が認められた」が23件(59.0%)と、改善の困難さが伺える結果となった。指摘事項への対応を通じて、内部質保証の仕組みがより有効に機能し、更なる質向上につながることを期待したい。
本調査において、全ての改善報告書は指定期日までに確実に提出され、その大半について改善が認められたことが明らかとなった。これにより、当機構の改善報告は、受審校の継続的な改善を促す実効性のある仕組みとして機能し、教育研究活動の質の向上や大学運営の改善に寄与する役割を担っていることが確認できた。当機構では、受審校の発展に資するよう、今後も引続き改善報告をはじめとしたフォロ-アップ体制の一層の充実を図っていきたい。

※本調査研究の全結果は、「認証評価に関する調査研究第14号」(令和8年度中に発行予定)に掲載します。当機構の会員校、評価員、関係団体などにお送りするほか、当機構ホ-ムペ-ジで全文を公開します。
(評価事業部評価事業第2課係長 板垣智香)
新たなフォローアップ支援がスタート(有償)
令和8年度から「改善報告書等の提出」又は「追評価」の対象校に対し、大学の自律的な質保証と確実な改善に向けた新たなフォローアップ支援を開始します。
【対象】
- 前年度認証評価受審校のうち「改善報告書等の提出」又は「追評価」が求められた大学、短期大学、ファッション・ビジネス系専門職大学院
【フォローアップ期間】
- 認証評価受審翌年度の8月から当該年度の8月末日まで(令和8年度は8月から)
※対象大学等からの申し出により、フォローアップの期間を1年間延長することができます。【主な内容】
- 「改善を要する点」の指摘内容の詳細な説明
- 改善計画の立案に関する助言
- 改善への取組み内容に関する相談
- 改善経過の確認
- フォローアップ終了時の講評
- その他必要な支援
なお、実施内容や費用等の詳細は、当機構ホームページをご確認ください。

